只見 叶津川 芳沢本流~叶津川本流下降
春の会越 ~雪渓と山菜の沢~
2018/6/16-17
メンバー: CL USAN、勇ちゃん、信、みのり、がんちゃん、うど子
雪国の沢はみずみずしい生命の輝きに満ちている!
6月は雪渓も多く残り入れる沢も限られるが、当会では毎年この時期に雪渓処理を学び、ついでに(?)山の恵みを少し頂いて焚火を囲んで本格的な沢シーズン開幕なのだ~!
今回は芳沢~叶津川本流ルートとなったが、良くある芳沢途中からの新山峠経由周回ではなく、芳沢を最源流まで詰め上げて下田のスラブを眺め、叶津川本流の最源流ドン詰まりから下降と、大きく周回してみたもの。
雪国の沢では盛夏を越えても雪渓が残るのが普通。
雪渓も場数なり。
とはいえ絶対大丈夫とか、逆に絶対ダメ!とかの厳密な基準も無くロシアンルーレットのようなリスクは常に付きもの。
びっしりと埋まってて歩けたりして時に便利なことも無くはないけど、たいがいは厄介で恐ろしいものです。
今回は6月会山行のリーダーに任命されてしまった会長USANが、長年の憧れである「フキ平」に泊まりたい、どーしてもフキ平に行きたい!フキ平じゃなきゃヤだ!フキ平に行くもんね!うるせ~行くって言ってるだろ!!良いの「フキ平」で!
と珍しく場所にこだわりを見せ、叶津川に決まった。
” 雪どけにぃ 今日こそわれ待つ フキ平~ ” なんて柄にもなく俳句まで詠んで、いつもなら場所なんて全然こだわらないクセにどうもおかしいな?
ハハ~ン。
絶対「フキ」の意味勘違いしてるでしょ。あのねぇ、フキ平の「フキ」は食べるフキじゃないからね。
というと、「え?マジ?うそ?ふきのとうビッシリじゃないの??😞」
やっぱりね。ハイ。
しかし、フキノトウなんかどんだけ~っと食べてるのに、今さらどんだけ採るつもりだったのでせうか(- -;)
フキノトウのベッドで寝たいのかな???
私が梁山泊に入会して初めて参加した会山行で泊まったのがフキ平でした。
下田側の小さな大久保沢を詰めて赤滝沢下降でフキ平に泊り、翌日五兵衛小屋跡に集中して下田に戻りました。
あの時の、のどかなフキ平の風景は忘れられません。
あれからン年…フキ平はどうなったろうか?
数年前に飛倉沢を詰めて大久保沢を下ったけれども、八十里越えの国道工事が進んで大久保沢は三面護岸され、山毛欅の山腹にズドーンとグロテスクに巨大なトンネルが口を開けていて、その変貌ぶりにショックを受け、深い悲しみと怒り、やるせなさを感じました。
また、大水災害で只見の山はかなり荒れたとも聞いています。
胸が痛くなる工事の看板。
そんな気持ちを胸の底に沈めて、小雨降る中を歩き始めました。
叶津本流への降り口は良くわからずスノーシェッドの裏から適当に下る。
すぐに現れた雪渓。ムムム、こんなところからもうあんの?(^^;)
以前赤崩に行こうとして引入沢の雪渓に阻まれそこで泊まって戻ったことがあるのですが。
今回は赤崩沢と芳沢の出合いに早く着ければ赤崩沢を詰めて中ノ又を踏もうという計画でしたが、こんな感じだとやっぱり時間かかりそう。
ちなみに、我々の言う赤崩沢は中ノ又山に詰め上がる赤崩沢本流であり、赤崩沢左俣は芳沢です。
古い人間は芳沢と言います(^^;)
最近のネット記録は芳沢って言わないみたいだけど芳沢ですっ!ナニをこだわっているんだワシは(笑)
お約束のように引入沢出合いにやっぱりあった雪渓は、入口が崩れて乗り口はちょっと高さがあり直接雪渓には乗れなかったので、右の足場の悪いスラブからブッシュを引っ張り腕力で強引に上がり雪渓の上に巻いて降りた。
シーズン初めはまだ感覚が戻っておらず悪いスタンスに確信が持てない。(私だけだよ~)
ちなみに、今回はヌメリはないだろうとゴム底の沢靴で来たが失敗。
今山行での沢は、ほぼ全体的に河原の水中の小石までかなりヌメヌメでした。
一発大水で洗われないとダメそうです。
8mF1 ここはヌメってない。快適。
この後も多くの雪渓が断続的にかかっていたが、ほとんどがペラペラで上を行くにしても下を潜るにしても神経を遣わされる。
ヒヤヒヤしながら降りた直後にドス~ンと庇部分が落ちたり(^^;)
けれども全般に雪渓の高さがさほどないので、乗り降りが比較的楽でロープも使わずに済んだのが幸いでした。
雪渓登ったり降りたりと時間がかかったが、赤崩沢と芳沢の出合いに着いたのはまだ昼過ぎだった。
赤崩と芳沢の出合
雪渓があるので当初から計画は柔軟に考えており、もう少し早くここに着ければ赤崩沢を詰めて中の又山を踏むつもりだったが、先の雪渓の状況がわからず時間とテン場が読めない。
時間は早いが赤崩沢にちょっと入った絶好の台地にて昼天とした。
明日は芳沢を最源流の稜線まで詰め上げて、砥沢を眺めて叶津本流を下ろう。
テン場ではウドとオオナルコユリとウルイが良さげに我らを待っていた✨
沢泊まり初めてのがんちゃんを迎え、明るいうちからガンガンの焚火を囲んで春の宴を始めたが、いかんせん時間が長すぎる~。
いつまでたっても明るいよ。夏至の沢(^^;)
ウドの肉巻き。
これはがんちゃんではなく盗人スタイルの勇ちゃん。
酔っぱらってサンダルで釣りに行ったらドボンしてしまい、更に、焚火で乾かしていた靴下を焦す(^^;)
さぁ、まだ宵の口、ビバ~ヤンパヤパヤ(古)夜はこれからだぜぃ!なんだけど、そして、がんちゃんを歓迎したのか神様が雨を降らせずにいてくれたんだけど、すぐに眠くなってしまった(^^;)
雨も全く降らずに翌朝元気に出発!
天気はどんどん回復。
芳沢は出合いからすぐに10m弱程度のヌメヌメっぽい滝がかかる。
朝一の滝だしヌメヌメだし「巻きたいな~」というメンバーの日和った気持ちに活を入れるかのように、USAN会長颯爽と左壁から登り始める。
あ~あ、登っちゃった、マジか~。
6人所帯で時間がかかるが安全をとり、各自ロープを引っ張りちゃんと真面目にビレイで登った。
がんちゃん頑張れ!
テラスの手前あたりがやっぱり滑っていて良いスタンスが無い。ピンも取れないし手足ともに外傾してる。
「こんなとこ絶対トップはやだな~」と思いながらフォローしました。
御年ン歳、さすがというかよぅやるなぁというか、やっぱり本当にさすがです!
ビレイ交代。ビレイヤーがんちゃん頑張れ!
これを登ってしまうと癒しの渓相が続きテンバは取り放題でした。
昨日ここまで登っておけばかなりの時間節約になったはずけど、後の祭り。まぁ、先が分からないんだから仕方ないね。
新山峠に向かう穏やかな沢を確認する。
新山峠も大変魅力的で、本当に時間の余裕がなければ行程を短縮しそっちに回って叶津に降りることも念頭にあったが、今日はこのまま最後まで詰めることにする。
新山峠も雪のある時期に必ず行ってみたいものだ。
正直ここらへんの滝は全く記憶になく、写真の順番はいい加減です(^^;)
相変わらずの断続的な雪渓。た~くさんありやした~。ぺらっぺら。
しかし、上部はもっと雪渓で詰まっててスタコラ歩けるかと思っていたが、思いの他源頭部には雪渓が少なかった。
ここは珍しく埋まって居る。
私は雪渓もさることながらヌメリを嫌い、ずっと下山までチェーンスパイクつけっぱ。
ずれちゃう欠点があるけど、意外に岩にも効いてなかなか便利だった。
詰めあがった稜線は若干西側に振れたようで叶津川本流を隔てる尾根の上部、主稜線との合流点やや手前に到着した。
藪の稜線をもう少し北側の主稜線側の付け根に移動し、下田のスラブを眺め、しっかりと方向を見定めて叶津本流最源頭部にうまく入ることが出来た。
芳沢の詰め。
ヤブは適度で降りやすく、雪渓に覆われた穏やかな源頭部になんなく到着。
雪渓のおかげなのかすぐに水が出てくる。
ここで「ありゃりゃ?」私は買ったばかりのF社沢用高級タイツを裏返しに履いていたことに気づく(^^;)
老眼はつらいよ(^^;)
でも特に問題なし。
叶津本流なんてナンもないでしょとナメ切って降りて行くとエッ?ってな感じで釜を持つ大滝がジャジャーンと登場。
まぁ、一つくらいはそりゃあるわな、なんて懸垂で降りると連続してまた大滝がかかり下には良い感じ?の高さのある雪渓がババーンと控えているではないか。
聞いてないよとセコいブッシュをイワシで束ねて支点にし懸垂、頑張ってナナメッた雪渓に乗る。
ちなみに、この辺の写真はないのだ~(^^;)
時間かかるなぁ(汗)と尾根を見上げると、ん?何となく巻き道らしきものがあった(^^;)がこれもafter festival なり。
断続的にヤバめの雪渓がかかり想定外に時間がかかる。
こんなに滝があったのね(^^;) 写真は無いのだ~。
広い雪渓に流れ込む五兵衛小屋跡への沢を確認、ここからは来たことがあるはずだが…記憶なんてアテになりませんねぃ。
ちなみに、五兵衛小屋からの沢など枝沢を下降して本流に入る場合、枝沢の合流部は雪渓が薄くなっている場合があるのでこの時期は注意が要るだろう。
まだまだ雪渓た~くさんありやした~。ぺらっぺら。
イワナ幼稚園の楽園を歩き会長念願のフキ平を愛でる。
喰えないミズバショウがあちこちに。
昔泊まった台地も確認。鉱物を精製したフキ殻のボタ山は健在だった。だって「フキ平」ですから!(笑)
奥に見える黒っぽいのがフキ殻のボタ山の名残です。憧れのフキ平!(^^;)
いささか冗長とも思える楽園地帯を過ぎるとズボズボの白濁地帯に突入。
ありゃあ?昔はこんなの無かったぞ!
そこから下流の水は温泉のように白濁。「白崩沢」と勝手に命名。
気持ちの良いグリーンタフのナメが明るく大きく広がっていたはずなのに!(泣)
5m程度の小滝もあったはずだが埋まったのか不明であった。
なんだかゴルゴルしてきてドボンドボンと雪渓で冷え冷えの水に浸かったり泳いだり想定外にびしょ濡れ。
ちゅめたいっす。
寒いとみんな同じ格好で固まるのね(^^;)
右岸から沢を迎えるとまたまた滝。
う~ん、と唸ってると、そうか!ここが赤滝沢だ!と気づく。
赤滝沢手前から道があるとの事前情報があり、そこから道に上がるつもりでいたが、うっかりしてゴルジュを巻かずに全部水線で通過してしまった。またまたafter festival。
キンキンの雪渓水で冷え冷えの体だが、戻って赤滝沢に入り道を探すことにしたけどさっぱり良くワカラン。
諦めて赤滝沢をもう少し登ってみることにしようとふと足元を見ると、なんだか人工的な直線が目に入る。
アッ、ロープが垂れている!いや、ロープじゃ無いよホースだよ!UFO(古)
これは道があるに違いないと「ホース、ホース!あ、ワラビ!」と大声で叫びながらホースを辿ると出ましたぜんまい小屋跡!
そこからは何となくうっすらとちゃんと道が付いていた。
ラッキー!と道を辿ると間もなく巨大工事空間に出た。
八十里越えの国道工事は開通はしているが完成はまだで一般車両は通れない。
この工事現場をわざわざバスを仕立てて見学するツアーがあるらしい。
私が胸の痛みを感じた山毛欅の山腹に突き出たトンネル口を素晴らしい!と感激する方々もいるらしい。
このセンスの違いはなんなんだろ。なんだか余計に胸が痛くなるよ。。
複雑な心境だけど、今日のこの日に限っては人工物と時間短縮が有難かった。
本流下ってたらきっと暗くなってました。
ほんと、人間て勝手なものですね。(あ、私だけか。)
長い長いトンネル、長い長い立派な林道をちょいとお土産を頂きながらもウンザリしながら歩いて、車止めに着いたのはもう19時を少し回っていました。
久しぶりの13時間行動。
たまには良いかな。これで沢の体も出来てくるし。
それにしてもただの癒し系かなと思ってた叶津ですが、雪渓のこの時期は癒し系の渓相の中にも登攀、雪渓、ドロ壁草付、ヤブコギ、泳ぎ…と沢登りのエッセンスをそれなりに各種ちりばめたナカナカ良い沢でした。
THE雪国の沢初級といった感じ?
ここいらの山域は春と秋には遡下降で思い思いのルートを描くのに最適かと思います。
また計画してみたいな。
見上げれば雨上がりの澄んだ青い空。
みずみずしい緑、光る渓、春の雪渓…そして山の恵み…6月の雪国の沢ってやっぱり良いわぁ。
そして…みんなで助け合って沢登って焚火して酔っぱらって…沢登りはやっぱり良いわぁ。
泊りの沢初めてのがんちゃん、さてさて感想は如何に?(^^;)
雪国の春の沢は良いでしょっ!でしょっ!!
みなさまお疲れ様でした!
今回もありがとうございました!
0コメント