常念岳東尾根(敗退)
日程:2019.2.9(土)~2.11(祝)
メンバー:うど子姐、USAN、みのり嬢、Ganchan(記)
アメリカ中西部に記録的な寒波をもたらした北極からの大寒気団が、週末にかけて日本列島を覆うように垂れ下がってくるとTVのニュースは伝えていた。
関東平野部でも積雪がある予報である。
金曜日の夜、東京にいても随分と寒く感じるのに、ホントに北アに行くのか?
今回は東尾根の2000m付近にあるなだらかな樹林帯をBCにして、翌日常念岳(2857m)をアタックしようという計画である。
雪山初心者のわたしがいるので北アの中で冬山入門的なルートを選んだのだ。
前夜は安曇野の道の駅「ほりがねの里」にテント泊。
安曇野ICからクルマですぐで、ここから取り付きの「ほりでーゆ~四季の郷」のゲートまで8km程度とアクセスは大変良い。
明朝7:00にはゲートを出発したいので起床は6:00、夜通し運転してきて寝たのは3:00過ぎであった。
2/9(土)
眠い。寒い。共同装備を分担してパッキングしたら、重い。
でかい白菜がザックにどうしても入らない、しょうがないテルモスは置いていこう。
近くのコンビニでホットコーヒーを飲んで目を覚まし、いざ常念岳へ。
↑ 登山口に到着したが雪はほとんどない
林道を1時間ほど歩いて常念登山口に到着。
ここから樹林帯を1000m登るのだ。
積雪は10cm程度で恐れていたラッセルは皆無。
USANから借りたワカンをぶら下げてきたが使う箇所がない。
ことしは雪が少ないのだ。
それにしても似たような登りが延々と続く。
ラッセルはなくとも大汗をかきつつ14:00にはテン場候補地と目標にしていた1955mを通過した。
地形図をにらみつけるとあと150m登るともっと平坦な場所はある。
しかし、明日は軽身でのピストンであるからして、もうこの辺に幕営しちゃってビールにしよう!という根性なしの決定が下された。
↑ 延々と続く尾根登り。ここがラッセルになったら大変だろう
↑ 尾根の斜面を平坦にして快適なテントを設営。しかし、すみっこは雪が崩れ落ちそうなのでいつしかみんなが中央に寄って来る
↑ 慣れない手つきで鶏肉をさばくGanchan(=わたし)。缶ビールが凍ったのには驚いた
↑ 良い焼き加減。初日は白菜たっぷりの寄せ鍋を作った
2/10(日)
4:00起床、6:00出発。
まだ暗い。出発前にUSANがしゃがみこんで大きい方をしていると、ゲートを3時に出て来た単独行者と鉢合わせをしたという。
USANは大変びっくりしたと言っていたが、暗い雪道をソロで登ってきてヘッデンの明りの中に大便をしているオジサンが突如現れたのだから、むしろ相手の方が驚いたに違いない。
荷が軽くなったので軽快に登っていくはずが、雪が深くなったせいで罰ゲームのような「落とし穴」に時々はまり息が上がる。
森林限界の2300m付近で、昨日から体調が良くなかったUSANがひとりテントに引き返すことになった。
樹林帯を抜けて見上げると常念岳の手前の前常念岳(2661m)直下の岩稜帯が目の前にある。
取り合えずそこまで行って状況を判断することにした。
↑ 手前に見えるピークが前常念岳。左方向(西)からときおり強い風が吹く
新雪があるところはトレースはしっかりある。傾斜がきつくても風の強い箇所は雪が締まっていてアイゼンの効きがいい。
高度感があり神経は使うが行けないことはない。
前常念直下の岩稜帯を迂回トラバース。その直後に直登した急傾斜でみのり嬢がミニ滑落した。
さっきまで締まっていた雪が、風の影響を受けない地形なのかクラストしたアイスの上に新雪が20cmほど積もっている状態に変化していた。
自身で巻き込んだ雪と、一本の立木がブレーキになりみのり嬢は無事滑落停止。事なきを得た。
↑ 前常念の直下の岩稜帯はこの上の方にある。トレースはばっちりで歩きやすい
↑ 右(東)に目を向けると横道岳(2767m)が青空の中に綺麗にうかぶ
↑ 元気いっぱいの青いお嬢サマと、ザックをしばいて気合を入れなおす赤いお姐サマ
11:20、2535m。
あと100mちょっとで前常念のところまできたが、風が強くなってきた。
このあと見晴らしも悪くなりそうだ。
核心部の難所も通過したので、早く帰ってテントで焼肉をしようという決断が下された。
しかし、帰るにはまた岩稜帯を迂回しなくてはいけない。
登るときはホイホイきたが、下りは怖い。
急傾斜のトラバースの一歩目で、わたしがクラストを左足で踏み抜いた。右足に体重をかけて左足を抜いた瞬間、バランスを崩して滑った。
とっさに目の前にあったうど子姐の足に左手でしがみつき、まだ落ちる勢いが出ていなかったので右手でピッケルを刺して止まった。
「溺れる者は藁をもつかむ」というが、実際の滑落停止では自分で何をしでかすか分からないと思った。
うど子姐からみれば、体重差がある人にしがみつかれて一緒に滑落したら大迷惑だ。
落ちたら事故になる可能性もあったのだから。
この光景を目の前で見ていたみのり嬢は、トラバースの一歩目を踏み出すのが急に怖くなったと述懐していた。
2/11(月)
7:00頃にぐうたら起床。
だらだら降りて行って「ほりでーゆ~四季の郷」で温泉に入る。
USANの「そばが食べたい!」とのひとことで安曇野の蕎麦屋に入り、お茶をすすってみんなで野沢菜をつついた。
↑ 蕎麦屋自家製の野沢菜。シャキシャキしてそば茶に合うのだ
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