北ア・黒部川上の廊下

2016/8/9~14 個人山行


メンバー:南郷勇、ガラ中


押忍、梁山泊新人ガラ中です。

この時を虎視眈眈と待っていました。今年は雪渓・降雨(お盆以前)ともに少なく、文字どおり千載一遇の好機。2年前のリベンジを果たすべく、梅雨明けを聞くや否や南郷さんと立山目指して車を走らせるのでした。遡行目的地は黒部川上の廊下。


NAS会長の「気をつけて行ってらっしゃい」のお言葉を賜り、「よっしゃー、いっちょやったるでー❗️」と気合を丹田に込め「セイヤー‼️」。


立山に着いたのが日付が変わる頃、駅前の駐車場に車を止めハイカラなテントをこっそり立て、何はともあれ入山祝いの恒例儀式。ほどなく酔眠。

10日6:30切符売り場に並んだものの、あまりの客の多さに7:40発になってしまいました。今日はのんびり平乃小屋泊なので想定内です。10:00頃黒部湖に到着。一応ダム放水を観光した後、湖畔の登山道を平乃小屋目指して歩を進めるのでした。佐伯さんと熊やイワナの話で盛り上がろうと、家から一升瓶を担いできました。沢装備・登攀具一式・三日分の食材・炊事道具・40mロープ・タープ・着替えなどに加えて一升瓶持参なのでおめでたいことです。

3:00頃やっと平乃小屋に着くと、黒柴のモモが出迎えてくれました。「モモ久しぶり~」疲れを癒してくれます。ほどなく佐伯さんが船から戻られて、「いらしゃい」「佐伯さんご無沙汰です。これお土産です。生酒なので冷やしてくださいね」「いや~どうもありがとう(☺️)」。私はビール、佐伯さんは闇カクテルを飲みながら、小屋に熊が侵入してetcなどのよもやま噺で夕餉を待ちました。小屋泊まりの他のお客さんがヌクイ谷河口で尺二のニジマスを釣り上げたので、佐伯さんが刺身にすべく調理場へ。

流石、平乃小屋三代目。川魚の調理を極めた男。「これが聞きおよぶ佐伯さんの刺身ですな。うまいねい。」皮で作ったもう一品が気が利いていてこれまた絶品。これはお土産のアレで「きゅっと」やったらたまんないだろうと「覚憲さん、おもたせのアレちょっぴり味見させてくださいよ」と尋ねると何やらモジモジしている。さてはマサカ・目が点・あんぐり状態。そうです、調理場に入り刺身を引いている間にご夫婦ですっかり空けてしまったのでした。脱帽です。

そんな愛すべきご夫婦の平乃小屋で楽しい時間を過ごし、11日6:00の渡しで対岸へ。

準備運動には少々きつい登山道を行くと奥黒部ヒュッテ。小屋の支配人のおじさんも元気そうで、小屋先で身支度を整え、キンキンに冷えたビールを買い足し、ついに夢でうなされた因縁の上の廊下に入渓。

予想通り水量は安定し、下の黒ビンガのザイル渡渉ポイントでは「とりあえずスクラムでいっときますか」てな具合いで、難なく通過。難関は口元のタル沢出合から始まるゴルジュです。前回は水量も多く、降雨増水等いろいろあって左岸高巻き後、ゴルジュ出口で停滞の憂き目に遭ってしまいました。

今回は「吾輩の辞書に高巻きの文字はない」と決心していましたので、右岸から左岸に渡渉し、残置ハーケン等を利用させていただき、すんなりトラバースしてしまいました。

口元ノタルゴルジュ出口付近:2年前の降雨増水/30cm程度水量が増え邪気を帯びている

前回ビバークの焚き火跡、感無量でした  

今日のお泊まりは中ノタル沢。予定通り3:00到着。薪は売るほどあるし、快適な砂地、朝日に光り輝く薬師の一部。明日来るであろう仲間のために、石文字を残しておきました。  

朝まったり過ごしていると、廊下沢先でビバークしていた還暦を過ぎたくらいのソロの男性がテン場に来て、「若い奴らに、沢でのタープの過ごし方を見せてやる」とか言って写真を撮っていきました。聞くと秩父から来たそうで、「自分は素人だから・・・、途中まで行って帰ってくる」「気をつけて」と別れましたが、実はこの爺さん秩父の超人でした。8:30頃テン場を出発して、金作谷先ゴルジュを無事通過し、スゴの淵ゴルジュ出口で休んでいたら、秩父の超人が来て、「立石奇岩で折り返してきたよ。沢は下りの方が早くて楽チン」とか言ったと思ったら淵にダイブして消えて行きました。ス、スゴすぎる。元気溌剌だねい。

立石付近:水位がこれほど変化していました

岩苔小谷を左に立石を過ぎ、3:30立石奇岩に到着。初めて見る立石奇岩にただただ感動し、今日のテン場に即決定。正直あまり期待していなかったのに、実物の立石奇岩はスケールが大きく、自然が織りなす巨大造形を見ながらの酒盛りは、生涯の宝物になりました。

13日は7:00出発。二人して巨石を持ち上げてからは、上の廊下遡行もフィナーレです。11:00頃薬師沢小屋下に到着。

今回は釣果に恵まれなっかたものの、な、な、なんと良型の松茸を3本も発見。

南郷さんは「やったよ~、やったよ~、ビックリポン(😵)」小鼻を膨らませてご満悦。

山歩きの身支度に着替え、小屋で水を汲んでザックを担いだら、まだ一升瓶を持っていたかしらと思うほど重く感じました。今まで着ていたものを詰め込み、しかも濡れているからでしょう。いや~折立までの道のりはバテバテでした。


ヘッデン下降になりましたが、7:30キャンプ場到着。手早くタープを張り、採りたて松茸の素焼きと松茸そばにして大変美味しく頂きました。のちに別動隊のNAS会長とうど子さんが薬師沢小屋で我々とニヤミスしていたことがわかり、もし会っていたら松茸ご馳走したのにね~。残念❗️


夜もふけ2:30頃若者数十人がワイワイガヤガヤと起き出し、早出支度。おまけに、我々のすぐ横で号令をかけて準備体操をする始末。「いち、に、さん、し」🙇 ま、まいりました~。嵐が去ったら何事もなかったかのように静寂が戻り、よく晴れた夜空を見上げながら煙草を吸っていると、流れ星が一筋キラリ🌠。生まれて初めて流れ星を見ました。


同行頂いた南郷さんありがとうございました。

これ以上なく全てに恵まれ、充実した上の廊下遡行でした。

                                        おしまい

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沢登り山岳会 遡行同人 梁山泊 - 山をまるごと楽しむ!

遡行同人 梁山泊は「沢登り」を中心に、山スキー・岩登り・アイスクライミング・雪稜登山など、四季を通じて山をまるごと楽しむ山岳会です。拠点は東京で、安全登山を心がけており焚き火、山菜&きのこに興味がある方、未経験者・初心者も大歓迎です。