丹沢 同角沢

2001.5.13

CL Y、S口、S藤(H)、うど子  


沢シーズン開幕一発目の会山行。

丹沢、モチコシ沢、小川谷、同角沢の3パーティー集中。


前夜、穴ノ平橋付近で宴会をし、当日は小川谷廊下パーテイーに車で林道ゲートまで送っていただく。

天気は快晴、モチコシパーテイーと共ににぎやかに林道を行く。

さあ、はりきって行くぞ!と言いたいところだが、沢シーズン開幕がいきなり同角沢ということで不安と緊張が入り交じる私。


9:15入渓。

玄倉川本流に入って少し下降すると、すぐに右岸から同角沢F1が水を落としている。

Yチーフが右壁よりスルスルと登り、シーズン初めの一発目ということで念のためロープをたらして下さる。岩は階段状で登りやすい。

続く三重の滝は、鎖がしっかりあるのでこれを利用して難なくパス。

 

するとまもなく不動の滝のお出ましである。

水量は少ないようなので中間バンドをトラバースするルートも充分可能と思われるが、Yチーフはハナからアブミ直上ルートと決めておられたのか、スルスルとロープをのばしアブミをセットして下さる。

ハーケンの穴にスリングが通らず、ナイフで穴をこじ開けたりする場面もあった。

また、ハングを乗っ越そうとYチーフがアブミの支点付近のホールドをつかんだ瞬間、そのホールドがとれてしまってヒヤリ。

Yチーフは「これで少しグレードが上がりました。」とニヤリ。

二つ目のアブミもセットし終わり、ササッと登攀完了。  


次は私の番だ。ところが、一つ目のハングがなかなか越せない。

失敗するたびに両腕はますますパンプしてくるし、アブミの上のホールドになかなか手が届かずあせってくる。 アブミ初体験とはいえなさけない。

しかたなくザイルを思い切り引っ張ってハング上へ。名付けて、超A0。フー。

二つ目のアブミは初めのよりは楽に越せたが、アブミの練習をしなくてはと痛感した。

私の次はS口さんで、簡単に登ってしまった。さすがは往年のアルパインクライマー。

最後はH美さんで、アブミの回収をして下さったが、これが大変だったそうです。ありがとうございました。  


左岸より無名沢が入り、ダルマ石のあたりで12:00位だったので昼食をとる。

モチコシパーテイーに無線を入れると、F1の大滝を登り終えたところだという。

腹ごしらえも済み、再び出発。


行水の滝は良くわからなかったが、H美さんに助けてもらって左から濡れながら登った小滝がそうだったのだろうか?  

さて、行く手にはドドーンと名無しノ滝が現れる。

飛沫をかぶりつつ見上げると、ヌメッと黒光りし迫力満点ではあるが、幸い水量は多くないようだ。

残置ハーケンもいくつか見えるものの、左から水流をトラバースした後のクラックを直上する辺りが悪そうである。

またまたYチーフにリードしていただく。

セカンドで取り付いてみると、やはりトラバース後の数手が「セカンドで良かった。」という感じである。クラックの上部もかなりもろく、岩が浮いていた。

この滝は水量が多ければ直登は無理そうである。ルンゼの巻き道も見たところ楽そうではない。  


無事名無しノ滝を終え、遺言棚へと向かう。

下段は全く問題なく右壁からスタスタとバンドを伝ってテラスへ。

今度もYチーフリードうど子ビレイで登ろうとしたところ、アクシデント発生!


Yチーフが岩に手をかけ、マントル的に少し力を入れたとたんに、まさに今体重をかけようとしているその岩が、肝心要のビレイポイントであるボルトが打たれているその岩(ひとかかえ以上ある大きさ)が、ぐらりと動き、壁から抜けて滝壺へ勢い良く落下。

岩は、足元のテラスに置かれたザイル上へ一旦バウンドしてから落下したため、ザイルは数カ所スパッと溶断されていた。(ベビースターラーメン状)

ザイルが切れるときはいとも簡単に切れるものだと知った。


二人がザイルに引っ張られて岩もろとも滝壺へ落下しなかったのは、たまたま、支点の残置ボルト(新しいピカピカのリングボルト)とハーケンが抜けたからと言う理由であり、これまた複雑な心境であった。

考え得る限りのリスクを回避し、支点やホールドをよく確認しながら登るのはあたりまえのことではあるが、予想をこえる現実が事故を引き起こすこともある。まして、自然相手ではなおさらのことである。

自分のしている遊びが、遊びとはいえ命がかかっているということをあらためて実感した。

人の命が時にはあっけなく消えてしまうと言う現実と、となりあわせの真剣な遊びである。

心して、慎重に。  


山の神様のお助けにあずかったのか、からくも命拾いしたわれわれは、ボロボロの遺言棚の直登はやめ、滝の左のガレルンゼ(ここのボロボロ度もかなりなものでした!)から東沢乗越をめざした。  東沢乗越から道が不明瞭となった地点で東沢を下降し、小川谷の壊れた堰堤の上で、待っていてくれた小川谷パーテイーと合流。


充実した今日の遡行話に花をさかせながら穴ノ平のビール車へと急ぎ17:00到着。

遺言棚の名の由来を身をもって知った一日となった。

皆様、丹沢はもろいです!お気をつけ下さい。

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沢登り山岳会 遡行同人 梁山泊 - 山をまるごと楽しむ!

遡行同人 梁山泊は「沢登り」を中心に、山スキー・岩登り・アイスクライミング・雪稜登山など、四季を通じて山をまるごと楽しむ山岳会です。拠点は東京で、安全登山を心がけており焚き火、山菜&きのこに興味がある方、未経験者・初心者も大歓迎です。