奥多摩 南秋川 矢沢軍刀利沢

2002.5.3

  うど子 


ゴールデンウイークに連続した休日のとれない私は、今年もやむなく一人で沢のトレーニングに出かけた。

一人はあぶない、そして寂しいが、家でじっとしているのはもっとサビシイ...  


バスを降り矢沢林道を1時間弱歩くと道沿いに小屋があり、そのすぐ先から出合っているのが軍刀利沢である。

情報では「小屋から10分歩いた所が出合で、赤テープべたべたですぐわかる。」とのことだったが、小屋からゆっくり歩いても5分とはかからず、赤テープ等の目印もいっさい無かった。

念のため出合のかなり先の方まで偵察に行ってみたが、他に間違えそうな沢は入ってきていなかった。相変わらず懲りもせずガイド頼みの自分がなさけなや。  


さて、思ったよりもショボイ印象の小さな沢だ。

入渓するとすぐに両岸がせまったミニゴルジュ帯となるが、特に問題はない。 落ち葉が積もっていてすべりやすいことぐらいか。かつてあったという倒木帯もなかった。  


すぐに3mナメ滝を前衛に二条4m滝である。

水流の左にホールドがあるが、だれかにお尻の下にいてもらわないと失敗したとき尾てい骨を打ちそうで思い切れない。と、リーチが足りないせいにしておく。

無理をせずもっと左の凹角から登ったが、ずるずるのもろいスラブに泥がのっておりホールドも小さくて冷や汗をかいた。

初めの滝からこの調子では先が思いやられるので、ここから逃げて帰ろうかと思った。  

あるガイドによると(またガイドかよっ!)、この沢の滝の登攀グレードは2級だそうである。

確か2級というと「たまに手をつく程度」じゃなかったかと思うが、私には「手を離すと落ちる程度」に感じた。全く、修業不足そのもの。トホホ...


不安がキョウフであせりつつ、とりあえず先に進んでみる。  

5m逆くの字滝をこえると、小滝の連続になり気が付くと8mナメ滝は登り終えていた。

落ち口には左にハーケンを一つ見た。私が見た限りでは今山行中唯一の残置であった。


ホッとする間もなく目の前にはすぐに2段10m滝が現れる。

この沢は本当に滝と滝の間隔が短い。

これは登れず右のグズグズとくずれやすい斜面を残置ロープを保険にして巻く。

落ち口付近の灌木には「南郷~会」という看板がかかっていたが、もしかしたらそちらの会でこの沢の残置ロープなどを管理されているのだろうか。  


小滝がいくつか続いた後、5m滝を左から登り連続して6mチョックウッド(ストーンではないのよ。)滝となる。落ち口には大きな木の根っこが引っかかっているが、何年も前からあるようだ。(ということは、いつ落っこちてくるともワカりませんです。) 登るとすれば左からで、中間からはザブザブと水をかぶりながらぬめったカベをつっぱりで行き、根っこにつかまるしかなさそうだが... 仲間がいたとしても中間に支点がとれそうもないので、エイヤっといくしかなさそう。

登ってみると意外と簡単らしいが、一人だしコワいので素直に左から巻くことにする。

5m滝の下まで戻って巻くのがルートだそうだが、かまわずそのまま左の泥斜面に入り、灌木を頼りに巻いた。  


3m滝をへて、のっぺりした垂直の6m滝が現れる。

水流右の壁に一見すると細かそうなホールドが明らかだが、高さもあるので無理をせず右の残置ロープのあるところから巻く。もう、巻き巻きです。  


そして、楽しみに(?)していたヘツリ用の淵であるが、思ってたよりもずっとコンパクトで淵というよりは大きな水たまりか、カエルのお風呂程度である。

水の流れもほとんどないので、お好きな方は真ん中の水中も行ける。

左壁は一番簡単そう。

へつりの長さも4m位と短いので右壁にとりついてみる。

ややハングしているがツルツル系ではなく、手は最後まで大ガバ連続である。足は適当で大丈夫。

難しさはないが、かぶっているので手が疲れる。

体重とザックを支えるだけのパワーがあればなんとかなるようだ。私は力はないが、体重が軽いのだった。  


無事簡単に通過したので気をよくして先に進む。

小滝をいくつか乗っ越して、最後の10m滝を定石通り右から巻く。

ここからは一転して樹林が開け、穏やかなゴーロ地帯となる。

やっと落ち着いてビールを冷やせる!と思いきやブヨの襲撃が激しすぎて断念。

しょうがないのでコンパスとにらめっこしつつ先へ進む。

最後の二俣は右の涸れた岩溝をのぼる。(私は広い左を本流かと思って進み、途中から支尾根をトラバースして本来のルートに戻った。)

ツメは藪もなく、落ち葉の絨毯である。

三国峠にて無事遡行終了。

ここまで赤テープ等の目印も全くなく、踏み跡もあまりなかった。


一日を振り返り、濡れ物を乾かしながらのーんびりとする。

遠く、富士山が美しい。

軍刀利沢は、高い滝はあまりないが、小さくともそれなりに気の抜けない滝(私にとってはデス。)がたくさんあるので、沢初めの足慣らしには向いているようなような気がしました。

短い沢なので、気軽なところも練習向きだと思います。


それにしても、相変わらず自分のルートファインデイングの未熟さには悲しくなりました。

まいったなあ。  


えっと、帰りに軍刀利神社へ寄ったのですが、「縁結びに御利益あり」だそうで、J平さん(達)のことお願いしときましたから、もうご安心下さい。 あ、お賽銭入れるの忘れた。

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沢登り山岳会 遡行同人 梁山泊 - 山をまるごと楽しむ!

遡行同人 梁山泊は「沢登り」を中心に、山スキー・岩登り・アイスクライミング・雪稜登山など、四季を通じて山をまるごと楽しむ山岳会です。拠点は東京で、安全登山を心がけており焚き火、山菜&きのこに興味がある方、未経験者・初心者も大歓迎です。