飯豊 玉川 桧山沢(その1)

2004/8/13-15

CL深瀬、Y田、USAN、T岡、S藤(昭)


1日目(8/13)

山形県小国町長者原集落をぬけ、玉川の流れを見ながら車を飛ばすと対岸に橋をかけて 国民宿舎梅花皮荘が見えてくる。

ここの露天風呂を下山の楽しみと想いながら林道を さらに南へ進むと天狗平、飯豊山荘の車止メに着く。ここが飯豊登山、沢登りのベース となる。  

1年ぶりである。

昨年は天候不順、体調不良でここで3日間テントキーパーを 余儀なくされ毎日酒を浴びて酔っ払っていた。 

あっという間の1年である。光陰矢の如し。

小さなテントから顔だけ出して夜空の星を眺めていたら、いつの間にか寝入ったようだ。

ジャリジャリンとタイヤの転がる音が地面を伝わってきた。みんな到着したようだ。

入山祝いの深酒が3時を過ぎまだ酒の残る頭に響く朝告げ鳥の清々しい声で目覚める。

否、BGMは地元のキノコ(とんび茸)採りのオッサンの車から流れるド演歌だったか?

2泊3日分の酒、食料、3ッ道具ザイル、タープ、ハンマー、ボルト等々が詰まる重いザック をドッコイショと担いで歩き出したのは余裕の7時30分であった。 


飯豊縦走を梶川尾根から 出発するKさんとお互いの無事を祈って別れ、白いブナの林道を静々歩く。

大又沢出合にかかる、鉄製吊橋桧山大橋コンクリ橋げたゴロ石河原で遡行の準備。

天気快晴。

底フェルト張替え5回目のよれた遡行靴が桧山沢の透明な水にゆれる。

水量は去年よりだいぶ落ちている。

上下が畳状の2Mの平滝をよじり右にルンゼを見ると 5Mの2段滝。

左から越え続く淵を泳ぐと青く長いトロ淵がゴルジュの中にゆらり漂っていた。

右岸をへつり一休み。夏の空はあくまでも蒼く、流れる沢水も木々の緑と空の色を映している。


深い淵を従えるゴルジュの右岸の草付岩場を登り、沢に降りると右に穴木沢が出会う。

両岸狭まるゴルジュ帯にトロ淵が連続して現われる。

10M、15M、20M。両岸えぐれホールド の無い2M滝が渓を圧縮して深い淵を作っている。

水は冷たい。

右のルンゼの高巻を考え 泳ぎの突破を躊躇している最中、果敢にもN事務長が会長直伝のラッコ泳法で右に 左に流れを押さえ込み、落ち口に取り付いた。

ツルツルの岩に見えたが水面下のフットホールド をうまく探し当て見事に突破してくれた。拍手!

後はザイルでルンルンである。


左岸に15Mの滝をかけたルンゼが見えると沢は左にカーブしている。 

この先が十文字滝 らしい。手前に大釜を持つ3M滝がトウトウと流れ落ちている。

きっとここには大っきな岩魚が いるだろうなァ。

10Mの落差で飛沫を舞い上げる2段滝と対面。滝壷は満々と蒼い水をたたえ 深く大きい。

きっとここにもすごく大きな岩魚がいるんだろうなあ。

桧山沢の魚止めらしい。

釣り竿必携の装備計画であった。まだ誰も竿を出していない。どうしてだろう?

最近あっちと 同様?釣欲が萎えているらしい?

そういえば今回の山行は深瀬会長を筆頭に中高年オジ達 の集まりである。

会長57歳、Y田チーフ53歳、N事務長53歳、砂糖49歳、T岡8段40歳。 平均年齢50でR。

会長に至っては、つい2日前柳又から帰ったばかり、この桧山の2日後は 上の廊下だと。立派である。

オジサン達は頑張っているんでR。

連続する淵をへつり、右に曲がる6M3M3Mのネジレ滝を左岸から巻いて大岩が張り付く 淵を泳ぐと左に3本のルンゼが落ちて河原状になっている。

時はちょうど12時。 行動食のいつものコンビニおにぎりとジャムバター2色パンをルンゼ水でそそくさと喉に流し込み 折角なのでと毛ばりを振る。が、岩魚には振られてしまったようだ。 


高い垂直壁がそそり立つ 5M、10M滝の2段滝に前進を阻まれる。

右のルンゼはガレて不安定で登れず、少し戻り 草付きから潅木へと繋がるルートで高巻く。

沢に降りようとするもまだ轟音響かせる連爆帯が 続いている。そのまま高巻を続行。

マミ沢出合に立つ。小滝と淵が点在。泳ぎへつりで前進。 水が冷たく身体を濡らす。

ゴルジュから見上げるスカイラインはどこまでも高く青く輝いている。

「カモシカ!」前を行くメンバーの声が耳に届いた。「シカが溺れているー!」 エー!何? 遠めで良く見えないが目を凝らすと確かに前方ゴルジュの5M程の滝手前、なんてことない 流れの中で浮き沈みして、もがいているシカの頭が見えた。

おそらく我々の気配を感じて 急いで上流へ走って急流のドツボにハマッタんだろう。

どうしようか?と言ってもどうにも 出来ないのでただ眺めているしかない。 

そのうち何とか流れを乗り越えて走り去った。 良かったなぁ!遡行開始。

「ありゃりゃ!」さっきのシカ君がまたまた淵の上下を行ったり来たり モガキまくっているぞ。

まあゴルジュだからトー然、前に行くしかないんだからなあ。

しばしシカ君の行く末を案じながら静観。 オーッ!無事突破したようだ。拍手!

急な岩場を 登ってブッシュ帯の中へ消え去っていった。我々もシカルートで乗っ越す。


大釜を持つ直登不可の10M滝が左に曲がってかかっている。

普通高巻だが、時間のロスを考えると 大高巻は出来ない。

Y田チーフと様子を見に走る。対岸に渡りルンゼを少し登ると途中まで トラバース出来る中間バンドが目に入った。

バンドに乗り滝落ち口辺りに降りれそうな僅かの 細木を束ねて懸垂支点を作る。

連携プレイでバンドにザック荷揚げ。ななめ懸垂で滝上流に 降りた。


遡行を続けると、左に岩小屋沢がその上部に長大な滝をかけて落ちている。

雪渓崩壊ブロックが散在する巨岩帯を進むと15M滝が現われた。

烏帽子沢が近いから 烏帽子滝?右のルンゼから巻いて草つき斜面を下降し沢に降り立つ。

左のスラブには巨大な 雪渓ブロックが鎮座している。

2又の右正面にはゴーロ状の沢が稜線へと続いている。 烏帽子沢だ。時間は4時を過ぎている。

ここからもっと上流の広河原を初日のテン場にする 予定である。 

しかし皆何も言わず阿吽の呼吸でザックを降ろした。

いつもの手馴れた手順でテン場設営がすみ、ビールを冷やす。

集めた流木から紫煙たなびくと 今宵の宴が始まる。

岩魚はいないけど料理は十分。スルメ丸ごと干物網焼き、ゴーヤチャンプル ウ、オージイビーフ味噌焼き、大盛りポテトサラダなどなど、あと各自4合米もあるぞ。

ご飯を炊いて温めたレトルトカレーとモツ煮込みをオカズに少しだけ食べるとモーうお腹いっぱい!

ごちそー様!残りはあした。


夜半に目覚め小用に起きて空を見上げると、満天の星が煌々とまたたき、みんなが寝入る タープ脇の岩壁と流下する沢に白く反射して周囲を照らしていた。

明日もきっといい天気だ。


つづく。

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沢登り山岳会 遡行同人 梁山泊 - 山をまるごと楽しむ!

遡行同人 梁山泊は「沢登り」を中心に、山スキー・岩登り・アイスクライミング・雪稜登山など、四季を通じて山をまるごと楽しむ山岳会です。拠点は東京で、安全登山を心がけており焚き火、山菜&きのこに興味がある方、未経験者・初心者も大歓迎です。