奥只見 村杉半島 (大鳥ダム~三羽折の高手~倉前沢山~村杉岳~大鳥ダム)
(丸山スキー場~袖沢仕入沢~袖沢乗越~倉前沢山~三羽折の高手~村杉岳~村杉沢右岸尾根~大鳥ダム湖岸道~丸山スキー場は断念)
2013/4/27-29
メンバー: うど子、NASさん
とある日NASさんから「GW前半で村杉岳行かない?」と軽く聞かれ、「行く行くぅ~!」と軽く返事をしたのでした。
ところが、どうせ行くなら三羽折の高手と倉前沢山ははずせないっしょ!と夜な夜な地形図を眺めルートを検討しているうちに段々と欲が出てきてしまい、これってもしかしたら朝のうちなら袖沢本流を渡渉出来るし、仕入沢から袖沢乗越経由で村杉岳へ向かい、周回できんじゃないのという計画が出来上がったのでした。
もし仕入沢からのルートが使えたとしたら、丸山岳への最短オリジナルルートが開拓できるかもしれない!
記録も見当たらないので、下見を兼ねてやってみようか!なんて獲らぬ狸の皮算用をしたのでした。
問題は袖沢林道のデブリ状況と、袖沢本流の水量と、仕入沢周辺の雪や水の状況とヤブの状況と、天候と…って、不確定要素ばかりだわよぉ!
まぁ、行って見なけりゃ分かりゃあしないと雪山装備に加え沢靴、ロープ、竿持って出発。
ところが金曜日から強い寒気が入り、ドッカン雷ゴロピカの土砂降りは朝になっても止まず、仕方なく下界で山菜を摘んだり、車から出る勇気も無く降り続く雨をただ呆然と眺めたりイビキをかいたり、どんより時間をつぶしていました。
雨やみぞれは昼までとの予報だったのに、午後になっても止む気配なし。
これじゃあ本流の渡渉なんてできっこないよ!
ってことで、あっさりメイン計画をあきらめ(丸山スキー場~大鳥ダム湖岸道~白滝沢右岸尾根~三羽折の高手~倉前沢山~村杉岳~村杉沢右岸尾根~丸山スキー場)のサブ計画に変更。 あぁ、普通だ。。
14時頃雨が小降りになったタイミングを見計らい、意を決して出発。
その日は大鳥ダムの湖岸道をたどり、大鳥橋の下でテンパることにする。
今年のこの山域は積雪は多いが融けるのも早いという感じでしたが、丸山スキー場から袖沢を眺めると林道の「り」の字も、トンネルの「ト」の字も無く、ただ雪の斜面として埋もれているほど雪が多く、そもそも袖沢林道の通行自体が無理ぃ~!という状況
袖沢管理道路のゲートもいつものGWと違ってまだ雪の中で存在すらわからない。
毎年この時期に袖沢に遊びに来ているけどこんなの見たことな~い!
ウドとウルイとコシアブラはあっさりあきらめる。下界で採ったフキノトウとカンゾウとカタクリとアサツキだけだ。
ちょっとちょっとぉ、天ぷらセットなんて車に置いてってくださいってば!
大鳥ダム湖岸道はデブリを警戒しながらのアイゼン/ピッケルでのトラバースですが、袖沢林道よりはずっとお気楽でした。
GWではあるが、もちろん他に誰も居ない。
あきらめの悪いNASさんは竿とミミズを背負ってるようですが、ご苦労さんとしか言いようもなく
土曜の雨は朝までとの当初予報はズレて(ズレ過ぎだっ!)、日曜の朝まで断続的に雷ドッカン暴風雨は続きました。
テント内はプール状態。シュラフもシュラフカバーも靴下も何もかもビショ濡れ。水溜りの中に寝てました。
必死にコップで水をかき出すが、この大雨ではテントの壁からしみ出す水の方が多かったっす
今回は土曜はきっと雪だろうとなめてかかり、軽量化のためテントのフライは省略していたのでした
翌朝雨が上がるのを待ち、濡れてぐっしょりのザックを背に強風下出発。
しっかし、沢屋というものはどうせ何もかもいつも濡れてるもんで慣れてるというかなんというか、ザックが濡れて重たいクッソ~!とは思ってもあとは大して気にもならないもんですな。
ご自慢?のシュラフカバーもカッパもいつのまにか浸み込むタイプになってるけど。
白滝沢右岸から取り付き、本日の宿たるJPを目指す。
白滝沢右岸取付
雪が多いためヤブコギはなくラクができましたが、寒気が抜けず時折雨やアラレが降り、相変わらずの強風で撤退を頭にちらつかせながらの登高ではありました。
これじゃテント張れないねぇなんて話してましたが、天然の防風壁となる良い雪庇があったので、予定より手前でしたが泊まることにしました。
テン場設営後、JPを経て三羽折の高手から倉前沢山方面へ足を延ばしました。
この頃になるとやっと陽がさして青空ものぞいてきました。
三羽折の高手付近から倉前沢山あたりはどこがピークなのかも判然としないなだらかで広大なブナの尾根が続いています。
前日までの降雪でリセットされた尾根は純白に輝き、60m道路とも100m道路とも呼ばれる幅広の美しいブナ尾根がたおやかにどこまでも続くさまは見事の一言。
総毛立つような荘厳な美しさは、とても言葉では言い表せません。
写真にも写せないけど。
三羽折の高手の2本のブナの間にたたずみ唖然と尾根を眺めます。思わずこの手のひらでブナの肌のゴツゴツを感じてみる。
雲が風に飛ばされ太陽の前を通るので、うねる尾根に光と影のめまぐるしいシンフォニーが奏でられる様を、言葉を失い固唾を呑んで見つめていました。
村杉岳
神様の領域を覗き見するようで罪悪感すら感じてしまうこの感覚、以前に丸山岳山頂に泊まった夜に見たナイアガラのような滝雲、水無川北沢と真ノ沢出合いでビヴァーク中の大増水の光景を目の当たりにした時にも感じたものでした。
普段は神様なんてとんと縁遠く何の信仰も持たずあくせくしてる私だが、何故か山に入ると、ひしっと肌でというか全身でというか感じるものがいつもある。
ここでは我々人間二人なんて、芥子粒ほど、雪の一片ほどにもなりゃあしない。
ピュ~っと風吹きゃ飛ばされる弱っちい我々を意識することも無く、生まれたときから一歩もそこを動くことなく、雨に打たれ雪に埋もれ風に叩かれお日様にジリジリ照らされ、ブナは昔からずっとそこに立ち尽くしてる…。
翌日の村杉岳までのだだっ広い純白の尾根も誠に素晴らしいものでした。
なんだか…とってもありがたい。落ち着いた静かな気持ちになる。
村杉岳に向かう。無心で地味にぽくぽくと歩く。
自分の呼吸と雪を踏む音だけ。
直前の降雪により新たに形成された雪庇のヘリが鋭角にピンと反り返っていました。GWにこんな景色が見られるなんてラッキーです
最初から最後まで足跡は自分たちのものだけ。
天国にいるのかな?
村杉岳ピークからの展望はぐるり360度言うこと無し!
猿倉山、横山などの村杉半島の山々は言うに及ばず、未丈、毛猛、浅草、燧、裏越後三山…。
今年は雪が多いので、丸山岳へのルートも白く雪が繋がっているようでした。
ウギャ、落ちた。足ブラ。
残雪の山は沢遊びにも似て、自分の好きなところに足跡を刻む自由があるから好き。
鳥や虫や魚や動物たちの自由さ、強さがうらやましいよ。
山高きが故に尊からず…自由な山が好き!
次にくるときはきっとオリジナルルートでね
下山は村杉沢右岸尾根より下降し、村杉沢を渡渉して戻ります。
衝撃的なブナ林があるという話を本で読んだのでわざわざこのルートで下山しましたが、結局わからずじまい。だって全山ブナ林なんだもんね。
渡渉に若干の心配をしてましたが、なんとかかろうじてアイゼンのまま飛び石に成功。
仮にもっと水量が多くても、小さな沢なので靴を脱げば楽勝だし、最悪でも渉れないということは無さそうです。
村杉岳は残雪期には割とラクにアクセスできるにもかかわらず、なぜだか静けさが保たれ原初の山の姿が残されています。
目印はおろか足跡も何もなく、GWだというのに人間の気配すらない自然の支配する素晴らしい尾根は足を踏み入れるのがはばかられるほど。
夢の中のような山でした…。これはきっと思い出に残る山行だと思う。
つくづく「山はいいな…。」ってホント思った。山は有難い。。
この山域、いつまでもいつまでも、このままありのままで残して欲しいものです。
GW後半はまた奥只見、裏越後三山の予定。どんだけ~
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