朝日連峰 日暮沢~竜門~大朝日~日暮沢 春の嵐編

2016/5/2-3


メンバー:うど子、NASさん

寡雪のGW、雪を求めて緯度を上げることにしました。

名だたる大渓谷が集まる天下の朝日の白い稜線で源頭部を見下ろしながら酒を飲もうじゃないか!
当初の計画では(またか!)、八久和に下りるか横断して呂滝手前で潜水艦を狙いつつ焚き火なんぞ楽しみつつ周遊しようかと目論んだのですが、あれよあれよと直前で天気予報が悪化、更には現地でぐっと悪化してしまい、沢横断どころか以東岳もカット、周回の半径もちっこくなっちゃってせっかくの連休だっつうのに正味一泊の一般ルートスノーハイキングになっちゃった(^ ^;)


せっかくの残雪期、地図を眺めて自分なりのルートを描きたかったのじゃが。。
まぁ、でも地図眺めていたらいくつか今後使えそうな良さげな尾根を見つけたのは収穫です。
いいんです。
妄想、逡巡、計画、準備…これらは山行の一部、というよりも大部分を占める楽しみでもあるんだから。

……所詮人間なんてお天道様には勝てませんから自分の身の丈にあった山行しかできないもんな。


朝日にはどうにも相性が悪いのかどうか、過去天気が良かった試しが無いかな?

今回は初めて尾根からの訪問となりました。

行く前から、いや現地でもずっとお天道様のご機嫌を伺いながらの行動でした。


朝日は遠い。


悪天予想の29日は無理せず一日をアプローチに費やす。
時折大粒の雨が落ちる不安定な天気。
まぁ、良いですよ。今回はお天気次第の出たとこ勝負の旅だしね。
途中、東北道は事故で通行止めとなり渋滞2時間。下道に降ろされそうになる直前で通行止め解除となりラッキーでした。
道の駅泊。
いつものGWよりずっと寒かった。

(30日)晴れのちアラレ、暴風


5/1が大荒れになることは予め分かっていたので、30日に竜門まで上がり翌日は小屋で停滞して2日には以東岳でも往復しようかと出発。

以東岳って前に以東沢から行ったことあるんだけど視界が無くて景色が見られなかったので訪ねてみたかったのだ。
4日も荒れる予報なので3日に下山の計画とした。


雪の全くない日暮沢林道ドン詰まり(クマスベリ沢出合広場)に駐車。
この先は道が崩れていて以前のように車ではアプローチ出来ない。(今年修復の予定があるとかないとか。)
小屋まで2,30分、3日分の荷物を背負いコゴミやニリンソウやエノキなど愛でながらのアプローチ。
「雑草という名の草は無い。」と言うが、雑草の如くそこいらじゅうにミズバショウやコゴミやニリンソウ、黄色い花(^^;)その他その他がワンサカ。


例年ならば下手したら根子集落から雪崩に怯えながら歩かされるところだろうが今年は雪が全然無い。


核心は日暮沢の渡渉なり。

渡渉点を探し、なんとかぎりぎり飛び石に成功。

巨大な倒木が沢床から約2メートルくらいの高さに橋のようにかかっているが、重荷に冬靴ではかなりキビシイと思われました💦

3月あたりだとこの倒木の上にナイフリッジのように雪が積もってるんだって!💦

後で聞けばもっと上流に中州のようなところがあって渡れるらしいが増水では無理でしょうね。


小屋周辺には雪皆無!

C800付近までほぼ雪は無く、晴天下アヘアヘ呻きながら夏道を行く。


やっと雪が出てきた。
前日のものと思われるトレースがありましたが、下界は雨でも山では雪だったようで新雪が少し積もっていた。
ドバーンとなかなかカッコ良いスケールの大きい景観、ゴロビツ沢源頭に着くころにはゴーゴーと風が出てアラレもパラパラ。
想定よりも天気が悪く、おいおい大丈夫かいなと山行継続をチト躊躇するものの、カッパを着込んでもう少し進んでみることにする。
見上げる高さに雪庇が出来ていたが、ここは尾根通しで直登し雪庇を乗越す。
雪庇の名残にはトレースがついており有難く拝借しましたが、例年よりもずいぶん小さい雪庇のようだ。


写真で見るよりもスケール感はずっとデカいし傾斜は急だ。
時折強風によろけながら清太岩山手前まで来たが、更に風が強まってきた。

やな予感。数年前にネコブから巻機に回った時の強風が頭をよぎった。

人は風には勝てまへん(^^;)

稜線には黒雲が押し寄せガスって見えない。う~ん。。雲もアラレも真横にぶっ飛んでるし💦


時折顔を出してる夏道のブッシュで風を避けながら念の為確保に備えて簡易ハーネスを装着し、逡巡しながらもさて行くか!とユウフン手前の鞍部を見るとトンデモナイ突風が💦


撤退!

ダメだこりゃ。人間なんてすっ飛んじまうよ~。


ふと見ると清太岩山のブッシュで風を避けている3人パーティーが見えた。

おぉ、この条件で良くもご無事に下って来られたものだ。


(後ほど伺うと、前日に竜門に入られた西川山岳会の御年82歳の会長様を含む御一行が下って来られるところでした。さすが!というよりも唖然というか本当に敬服です!)


とっとと日暮沢小屋に逃げ帰り宴会。

じゃんけんに負けて振り出しに戻ったかのよう。

宴会途中、天狗から降りて大井沢から回って来られた西川山岳会のK氏も加わり、おかげ様で大変楽しいひと時を過ごすことが出来ましたが調子に乗って三日分の酒をほとんど飲んでしもうた。
Kさん、ありがとうございました!


(5/1) 雷、大雨の嵐

雷ゴロゴロ大雨強風。

停滞そして二日酔い。
あぁ~、チモチ悪りぃ😠

一日中小屋に缶詰めになるのはあまりにもツラいので、雨が小降りになったスキを見て下界に降りてみることにする。

日暮沢は真っ茶色ガンガンの濁流で渡渉なんてとんでもなく恐る恐る丸太を渡った。
落ちたら確実にアウトだよぉ。おっかない💦


山菜を摘み、K氏に教わった旨い蕎麦屋に寄り、酒を買い足して再度丸太を渡りました~💦


この日は茨城から来られた3人組の方々と同宿。

ちなみに、日暮沢小屋はラジオの電波が不安定で携帯も通じず情報がとれませんでした。

無線も稜線とは通じないようでした。

(5/2) 雨のち曇り


朝起きるとまだ雨が残っていたが、準備して出発する頃にはやんでくれた。

さぁて、なんとか風は収まってくれただろうか。。
明日(3日)いっぱい天気がもってくれることを信じて行動開始!
こんな天気じゃ贅沢は言えないが、戦々恐々天のご機嫌を伺いながらの判断です。

今日の荷物は一泊分なのでず~いぶん軽い!

やや風は強めだが順調に清太岩山を越え、ヤセ尾根を越え、ユウフンを越えていく。
尾根が痩せているのでちょっと風に吹かれりゃとんでもなく、一度戻った判断は全く以て正解だった。

そう言えば眼下の入りトウヌシ沢は2回も撤退した沢だ。


最初は雪渓にやられて二俣から沢を戻った。

初めて経験する撤退だった。悔しくて涙が出たっけ。
今は撤退したって涙なんか一滴も出やしないなぁ(^^;)
撤退、エスケープ、停滞の余地を織り込むのは無事に帰るための重要なカードの一つだし、それも山行のうちだものね。
二度めは増水に遭い藪を漕いでユウフンにエスケープ。
旨そうな太いネマガリの多い、ブッシュの薄い緩やかな良い尾根だったのを覚えている。

デカいクラック、見えないクラックは沢山ある。


写真だとわからないが、数メートルの深さがある。
昨日とは違って視界があり小屋が見えた。
雪が少なくてトラバースルートは半分ブッシュが出ていたが、遠目で見るとブッシュの中に薄っすらと真っ直ぐな踏み跡らしきラインが見えたので竜門山はカットしトラバースで小屋に入ることにする。
踏み跡に見えたのは水場への夏道?だった。
ラクチン。


途中いくつか小さな流れが出ており豊富に水がとれた。
どうやら小屋の水源になっているようだが、雪の重みでホースの継ぎ目が外れており小屋には水は通じてなかった。

無事小屋に到着。

二度も撤退した入りトウヌシの源頭に尾根からやっと尋ねることが出来たのね(^ ^;)

ユウフン手前から前後しながら一緒になった西川山岳会のH氏と、小屋管理をされている遠藤さんと真昼間っから豪勢な酒盛りを楽しんでいると、ボードを背負った青年3人組も到着して賑やかな宴会を楽しむこととなった。

小屋では担ぎ上げられたビールを売っている!

酒盛りを楽しんでいると、やたらテンションの高いソロの男性が小屋に休憩に入ってきた。

「参った!朝日、天気悪りぃ~!やられた!」などど、やたらテンション高いと思ったら、なんとあの嵐の中を泊まり葉山から歩いてきたという。
今日は更に狐穴小屋まで足を延ばし翌日は茶畑から大鳥まで全行程2泊で降りるという。
いつもならともかくも、今年の茶畑ルートはヤブヤブに違いなく、私も検討はしたものの計画段階で候補から外したのだった。


驚いて話を伺ってると、「あれ?NASさんじゃねいの?」とサングラスをとったお顔は、なんと山登魂の治田さんじゃありませんか!
「お~っ!ハァルタさんじゃぁあん!」とお互い驚いたのでありました。
まったりハイカーの我々とは違って、全く治田さんは本当に山の変態ですね!(コレ最高の賛辞です!)
(5/3) 快晴、風やや強め、暑い


今日は大朝日を回って下山することにする。
朝からあったかかったが日中は何しろ暑かったなぁ。

春山の醍醐味、稜線漫歩を楽しみながら大朝日を目指す。

時折夏道が出ていた。
竹ノ沢、荒川、根子の各源頭部が素晴らしい。
飯豊も良く見える。
良い斜面いっぱい!朝日は随所で滑りが楽しめそうだ!
荒川から吹き付ける風に飛ばされそうだがもう小屋は近い。


大朝日小屋あたりからは人の数が増えて来た。
小屋の管理人さんは28日に上がられたそうだが、吹雪で視界無く風も強く身の危険を感じるほどだったそうです。

ガンガラ沢に黙とうを捧げ下山の途につく。

ここいらも風が強いところだ。
竜門の遠藤さんからのアドバイスで小朝日は巻かずに稜線通しで登ったが、この登りは雪が結構腐っていた。
古寺ルートから登ってくる人で賑やかになってきたが、日帰りならともかくも4,5日は荒れる予報だったので小屋に缶詰めになった方もひょっとしたらいらっしゃるのではなかろうか。


一度下りたことあるはずの道だが案の定記憶は全く無し。
古寺山は直進せず尾根分岐のダケカンバを目印に右にぐいっと直角に降りる。
ここを呑気に直進してしまうと根子川に到着してしまってアラ残念ということになる。
気持ちよくハナヌキ峰を越え、時折夏道を拾いながら日暮の小屋に戻った。
日暮ルートを使う人は何故だかごくわずかのようで、古いトレース痕がたまに残っていただけで誰にも会わない静かな山が楽しめた。

あんなに恐怖だった日暮沢も、平水とは言えないがそれなりに減水していたのでエイヤっと駆け足で駆け抜け、コゴミを愛でながら無事に車止めへ。


北国の春は桜が満開でした。


どっさりのお土産付きで帰宅。

山菜の処理が終わらねぇ~💦


GW時期というのは降れば冬、晴れりゃ夏という感じなのはいつものことですが、今年は降ったり晴れたりの変化が目まぐるしかったようです。


臆病者の私には、この山行の計画段階から現地での行動を含め気象判断にはヤマテンが非常に有効でした。

100%頼り切るわけには当然いきませんが、山に特化した予報、荒れそうな時の事前の注意喚起など有難く活用させていただきました。


また、お世話になった西川山岳会の皆様、おかげ様で本当にありがとうございました!

タコ旨かったよ~🎵

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沢登り山岳会 遡行同人 梁山泊 - 山をまるごと楽しむ!

遡行同人 梁山泊は「沢登り」を中心に、山スキー・岩登り・アイスクライミング・雪稜登山など、四季を通じて山をまるごと楽しむ山岳会です。拠点は東京で、安全登山を心がけており焚き火、山菜&きのこに興味がある方、未経験者・初心者も大歓迎です。