雲龍渓谷アイスクライミング

2017年1月28-29日
D-Arai師、オベ

【前置き】

雪上訓練の日に日本中を覆った寒波。これで氷も発達したんじゃね?と、D-Arai師とオベの二人で、氷瀑登攀に行ってきた。
因みに、数週間前、この二人で足尾に氷瀑登攀に行った時は、氷のカケラもなく、アプローチ20分歩くだけで敗退し、佐野ラーメンを喰って帰ってきた。
D-Arai師は、これで3回目の雲龍詣出。2年前にハイキングで訪れた師際、その壮大さに惚れ込み、次回は是非ここで氷瀑登攀を!と、相方(ノブさん)を連れて翌年(昨年)に再訪したのだが、大雪に悩まされながら何とか辿り着いたものの、時間切れ敗退している。では今回は泊まりで行こうよ!と、会員各位に声をかけ、マンマとワシが釣れたという訳。
「28日アプローチ、29日本番!」という計画の元、師の愛車ロシナンテ号は埼玉を出発。意気揚々と、一路日光を目指したのであった。

【27日】

二荒山神社の前を通過し、滝尾高徳水神社(二荒山神社の別宮、瀧尾神社のまた別宮)の駐車場で前夜泊。一般道を来た割には早い時間に到着できた。師謹製「カナダ豚のレタスシャブシャブ」を肴に入山祝い。師による法学講義「刑法178条逐条解説と同条制定の歴史的背景考察」を拝聴し、26時就寝。


【28日】

今日はアプローチのみなので、8時まで爆睡。外に出ると駐車場は満杯!下からも続々とハイカー達が上がって来る。
「滝ガイド」と書かれた車に乗ってやってきたオッチャンが人懐こそうに話しかけてきたので、三人で談笑。オッチャンは年金生活の傍ら、「滝のガイド業」を営んでいるらしい。三人であーでもないこーでもないと話をしながら、二荒山神社の宮司さんによる別宮での祝詞奉納を眺めつつ、ノンビリマッタリ準備したところ、なんと出発時間は午前11時!師およびオッチャンの二人の先達によれば、雲龍瀑までは「3時間見とけばダイジだ!」とのこと。久々に重荷を背負って出発。
車道をやや歩き、稲荷川右岸の砂防堰堤ハイキングコースに入り、右の堰堤を次々と数えながら進む。何個目かのデカい堰堤を左岸に渡り、見晴台への分岐から、渓谷へ向かう道に入る。雪の量はさほど多くない。朝早く出発し、下山の途についているハイカー数組とすれ違いながら、しばし歩くと、日向砂防ダム。巻き道を使ってこの上に出る。ここから稲荷川を渡渉して再び右岸の車道へ上がり、ひたすら車道歩きで洞門岩。多くのハイカーが、アイゼンを脱ぎ、次々と下山していく。ここまで約3時間。二人ともゲンナリだ。
先達D-Arai師の「こんなはずじゃなかった…。でも、先まで行こう」の言葉に従い、先に進む。
洞門岩から道は下り、真新しい堰堤の間を抜けると再び上り坂。ここで師の指示に従い、アイゼンを付け、下山してくるハイカーと行き交いながら、急登りに喘ぐ。道は一旦下った後、再び上に伸びている。いい加減飽きてきた頃、雲龍渓谷入口の展望台に到着。単独行と思われるハイカーが、ストラリッジを張っていた。ここから、雲竜渓谷が遠望できる。ここまで1時間。もうこの辺りでテント張っちゃおうよ、と思ったが、師は、「こんなはずじゃなかった」と言いつつも、「雲龍瀑まで行こうよ」と言うのであった。重荷で痛くなってきた肩を回して、さて出発。いよいよ雲龍渓谷に入っていく。
切り立った両岸に、見事な氷柱が形成されており、絶景。しかし、師によると、氷の発達は二年前と比べるまでもなく貧弱で、氷柱の数も少ないらしい。途中、氷瀑登攀中のパーティーに挨拶。彼らも今日は泊まりらしい。もう少し歩いて、やっと雲龍瀑の基部へと続く前衛滝の前に到着。テンバにするに良い平地であるが、師はもう一登りした雲龍瀑の基部にいい場所があるという。師の言葉に従い、前衛滝横の踏跡を登って行く。急な登りに息を切らし、キワドいトラバースをこなすと、目の前に雲龍瀑がドドーンとあらわれた。ここから雪面を下り、雲龍瀑前のカールに出る。
師氏は、このカールに泊まろうとの目論見だったらしい。が、雲龍瀑及びその左岸からの氷柱崩壊リスク、右岸からの落石リスクを考えると、このスリバチの底は危険な気がする。でも下に降りるのヤだなぁ…とあたりを徘徊し、スリバチの左壁についたトレースに沿って登ったところに台地を発見、ここで幕とする。テント張り、荷物整理を終え、お茶を飲んで落ち着いたのが17:00。当初の計画より、かなり遅くなってしまったが、無事安全な所で泊まれることになり、安心である。
夜、D-Arai師謹製の「カナダ豚チゲ鍋」をつつき、あーでもないこーでもないと話をする。計画通りに歩を進めることができなかったことに落胆しているのか、師には覇気がなく、弁舌も精彩を欠いており心配したが、お酒が入ると、その口調は滑らかになり絶好調。最後は俳句大会(句の内容はここでは書けない)で幕を閉じた。
夜中、目を覚ますと、下部の氷柱がドンガラガシャンと崩壊する音が聞こえ、小キジのため外に出ると暖かく、遠方に日光の街の灯が見えた。


【29日】

6時起床。朝飯を喰い、朝の納税に向かおうとテントを出ると、もうハイカーの姿が見え、慌ててズボンを上げる。ハイカーの数はどんどん増え続け、行動開始時間8時には、テントは大勢のハイカーで囲まれてしまった。その方々にやぁやぁと声をかけ、颯爽とスリバチの底に降りていくD-Arai師。その後ろを、気恥ずかしそうに付いていくワシ。
今シーズン初アイスということもあり、今回、雲龍瀑はパス!(笑)左岸の20m程度の小氷壁を本日のルートとする。昨日の疲れか、すぐにパンプして全然登れないオベに比べ、師は絶好調!リードで登り、トップロープの支点を構築してきてくれた。2~3本登ったのち、D-Arai師は、ラインを変えて被り気味のルートを登ると言う。ギャラリーハイカーからの黄色い声援に後押しされ、気合十分で完登。降りて来て、ワシにも登れと勧めてくる。広背筋と上腕筋がすでにパンパンの中、ヒィコラヒィコラしていると、「トップロープだから大丈夫だよ!ファイト!」の檄をいただく。このところ急速に力をつけてきているD-Arai師。Dとは、ディーンの略らしい。デン助のDとか言ってごめんなさい。今回から「師」と呼ばせていただきます。
お昼まで登り、今日の氷瀑登攀は終了。テントを撤収し、13時下山開始。前衛滝基部までは、昨日のルートを登り返すのはやめ、スリバチの底から残置支点で懸垂。以後、快調に下山し、駐車場到着は16時5分。昨日の滝ガイドのオッチャンが、心配したのか、師と話し足りなかったのか、待っていてくれた。一通りおしゃべりに興じた後、満足したオッチャンを見送り、軽く着替えを済ませて「やしおの湯」で汗を流す。外に出ると、件のオッチャンの車を発見!見つからないようにそっとその場を去る。ロシナンテ号は、空いている東北道をひたすら駆け続け、20時にはD-Arai宅に到着、解散となった。


【総括】

1.霧積ダムサイトのような、アプローチ至近の場所で登っている我々にしては、アプローチが地獄。荷物を持ち過ぎた。ロープは30m×2本、スクリュー10本未満、ガチャもうちょい少な目、アックスも各自一本とし、登攀時に二人で使いまわす、で充分遊べたはずだ。
2.氷瀑登攀のロケーションとしては、抜群の場所ですね。もっと氷が発達すれば、ジェフ・ロウの「アイス・ワールド」の気分を味わえるかも。
3.登攀道具は多すぎたけど、食糧計画はちょうどよかった。テンバも最高でした。
4.結果的に、アイスクライミングより、ボッカ訓練が主になっちゃった嫌いはあるけど、なかなかジュージツした二日間でした。D-Arai師、ありがとう。帰りはテント持たせちゃってごめんなさい(笑)またどこかに行きましょう。まずは伊勢海老釣りからかなぁ…

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沢登り山岳会 遡行同人 梁山泊 - 山をまるごと楽しむ!

遡行同人 梁山泊は「沢登り」を中心に、山スキー・岩登り・アイスクライミング・雪稜登山など、四季を通じて山をまるごと楽しむ山岳会です。拠点は東京で、安全登山を心がけており焚き火、山菜&きのこに興味がある方、未経験者・初心者も大歓迎です。