宝川~雨ヶ立

2020/2/23-24

うど子


実は3連休なのだが、初日(22日)は南低と前線通過、更に気温上昇で山の上まで雨。

中日の23日は冬型の大荒れ情報発令ときた。

最終日は晴れそう。

はぁ、参った参った。


予定していた会津はあきらめたが悩みに悩んだ。

近場の山には雪が無くテンション全く上がらない。

別に行きたいわけじゃないけど八ツだって暴風。。どこもかしこも風強すぎるわぃ。

そこで考えた。

22日は諦める!(笑)

23日は稜線に上がらず風を避けられるところで泊まり、翌日吹雪いたあとの美しく神々しい稜線を歩けるところ…


雨ヶ立があるじゃん!あるじゃ~ん!

土曜の雨で更に雪は減ったかもしれないが初日は固まってて歩きやすいだろう。

翌日はもっさり積もるだろう。吹雪いたあとの山は綺麗なんだよなぁ。

風を避けられる地形の初沢源頭の雪原に泊って冬型をやり過ごし、翌日上に上がる!

うん、良し、これなら大丈夫だ!やっと決まったぜぃ!


こんな日に山に入る馬鹿者は私くらいかと思ったが、上越線に乗ると意外にも泊り装備の御同輩がチラホラ。

ほとんど雪洞組のようだが、湯の小屋行きのバスにはなんとUSANと同じくらいの年頃の男性が一人同乗。お互いビックリ。

宝台樹から武尊を目指すという。しかもリフトに乗らないでわざわざバス停から歩き。ヒェ~。

実は今回私もこのルートを検討はしたのだが、暴風雪の中、尾根での幕営を嫌い候補からはずしたのだった。

この方、私の日帰りザックよりも小さい荷物、使いこんだ木製ワカン、長~いピッケルのみでストックは無し!という誠にスパルタンな装備。

「昼には雪が止むでしょ。夜は星の写真を撮るのが楽しみだ。」って、ええぇ~っ??

「絶対無理でしょ!」とは心の中だけで言っておく(^^;)

今日は小屋まで明日は武尊に縦走とおっしゃるが、今晩は相当ツラい夜を過ごされるに違いない。

ご健闘を祈る!


水上駅には各スキー場の無料シャトルバスが何台か待機している。

私は路線バスに乗ったが、近年バスは宝川温泉まで入らず、上の宝川入口で下ろされてしまう。

ここにも宝川温泉のバスとスキー場の無料シャトルバスが待機している。

スキー場のバスは、「乗りますか?帰りはどうするの?」と登山姿の私にもやさしいけれど、宝川温泉のバスは毎度のことだが登山客には超冷たい。目も合わせてくれないんだ(笑)

雪がガンガン降っていて路上はヤバい感じ。車が滑ったあとがある。

チェーンを巻く温泉客の車が数台。

温泉の送迎車を見送り、私もチェンスパを履いてまずは吹雪の中温泉を目指す。

歩くと30分くらいかかる。

宝川温泉奥の駐車場にも雪が無く、いつものドン詰まりの除雪終了点の雪の台地?も無くゲートを通過しそのまま林道へ。

こんなに雪が無ければ雪のバリケードで登山客の車を閉じ込めることも出来ないな(^^;)

今回、もうフキノトウが出ているとの情報を得ていたのでザックに辛子酢味噌を忍ばせてきたが、朝からの降雪でさすがに隠れてしまっているようだ(^^;)

気温はさほど低くなくカッパを着てると暑いくらい。

例年いつも雪崩れてる箇所も雪が無いのでなんなく通過。

なんと!いつも板を脱いで登り下りしていたトンネルの出入り口にも雪は無くそのままスルー、名物の氷筍も皆無。

こんなの初めて見たよ。4月だってこんなことなかったもん。

それでもこの付近から重しになっていたスノーシューを履くことが出来た。

今日は初沢右岸の道から入山。

シューが良く効き快適!


それにしても雪が少なくヤブヤブヤブヤブである。

ブッシュをかきわけツルに阻まれ「おおぃコラ離さんかいっ!なんでやねん!」という感じ。

うっすらと古いスキー跡が残ってるが、スキーでのヤブコギはさぞや悲しかったに違いない。

しかも積雪量が少なすぎて小さな枝沢が埋まってない。

これには参った。

いつもなら雪の下で意識もしてなかった小沢が、積雪により深い切れ込みとなっていて渡れないのが厄介だ。

地形図には現れない沢状がいくつものびているし、比較的平らなはずの地形が積雪により凸凹が顕著になってしまっていて、まるで知らないところに来たよう。

アチコチで沢水の音がジャージャー聞こえる。

行きたい方向は沢に邪魔されたりしてルーファイが悩ましい。

地形図と首っ引きでわずかな沢状のへこみを回避しながら行くが、どうしてもわたらざるを得ないところはビクビクもんで沢を渡るしかない。

渡れそうなブリッジを、勘を駆使して?予想しながら歩かないとアルバイトさせられる。

スキーじゃ撤退しか無さそう(^^;)

今日(今!)出来たばかりじゃないの?っちゅうヤワヤワなブリッジを祈りを込めてまずはストックでツンツンお味見、エィッとばかりに跨ぐこと数回、シューの刃が下の古い雪の層をガッチリと捉えてくれ頼もしい!シューすごい!


ますます吹雪がひどくなってきた。

向かい風の吹雪を正面から受けながら行く。

幕営予定のC1175m雪原に到着。


上の稜線はゴーゴー唸っているし視界が良くなく地形がイマイチ目視出来ない。

これではやはり尾根に出るなんて選択肢は全く無いな。

ここは三方を尾根に囲まれている凹地だが、風向きが一定せずどうやら巻いているようだ。

穴を掘るほどの積雪量も無いのでなるべくブッシュで風が避けられるところに設営。

板幽沢まで水を取りに行く予定だったが、幸か不幸か傍の枝沢が開いているのでブッシュを使い崩れませんようにと祈りながら強引に降りてみる。

無事取水に成功!これは助かった!


自分も装備も雪ダルマ、湿雪で何もかもびっしょりしっとりでもテント(ドーム型ツェルト)に転がり込むとそこはそれなりに天国である。


ブラシを忘れたが、そんなものは役に立たないほど激しく全部雪まみれ。

結局翌朝になるまで室内の雪は融けなかったのが幸か不幸か(^^;)

ブラシに加え象足も忘れた!靴下を濡らさないようにするのと用足しがもう大変!

今宵のメニューは寄せ鍋うどんだが、塩も忘れた~!ナンタルチャ~!

でもウマい、ウマ過ぎる!今回は良い鶏肉を奮発。(と言っても4百ン十円。)

ビールもチューハイも焼酎も、珍しくアルコール全て飲みつくしてしまい、明日の快晴を信じて嵐の中眠る。


4時半に起きるがまだまだ嵐は止まない。

早出のつもりだったが、視界がないとルーファイが難しいのでこりゃアカンわと二度寝する。

6時になると雪が小降りになり風も弱くなってきた。

慌てて準備し7時過ぎに出発。

テントまわりで新たな積雪約60センチくらい。


ラッセルの労を考え、なるべく緩い地形を繋いで稜線に出ることにする。

雪は深いところでシューでヒザ上ところによりクラストだが、ワカンよりも格段にラク!

ワカンよりも安定していてぐらつきがないので疲れが少ない。

(これは技量や体力の退化に繋がると思う!GPSの利用と同等の話か?)

湿雪だとある程度のところまでしか沈まないしクラスト斜面は刃がバッチリ効いてくれる。

ラッセルが楽しいなんて今まで思ったこともなかったのに楽しい!(笑)

シューの威力に感動しながら幕営地の東に延びる南支尾根から稜線を目指すが、C1250mに及んでもまだ沢が埋まっておらずビクビクのブリッジ渡りを強いられる。



主稜線に出ると走る雲の途切れざまに青空が覗いて来た!

急速に晴れてきたが布引山や谷川、武尊はまだ雲の中だ。

奥利根方面も見えてきた。

今年の超寡雪具合では奥利根横断は叶わぬ夢か。

あぁ、やっぱり美しい。

嵐の直後の尾根は最高!

これが好きなのよぉ!

苦労して来た甲斐があったというもんだ。

風は時折強さを増すが昨日に比べれば可愛いもんだ。

ガンガン晴れてくる。(もうちょい早く晴れてくれよぉ!)


ウウゥッ、どこ探してもサングラスがないぞ。またまた忘れ物~!

あぁ反省。今回は場所選びに時間を取られ準備がおろそかになってしまった。

装備の忘れ物は下手したらあの世行き。マジ反省。


対岸の布引尾根が姿を現した。

時間があればあちらに行きたかったんだよなぁ。

大好きな布引山。

来年はナルミズを滑れるだろうか…


さて、出発時間を遅らせたせいもあり、雨ヶ立をピストン出来るかどうか微妙だ。

順調ならなんとか行けそうだがラッセルもあるし、下手すると最終バスを逃す可能性がある。

車じゃないから時間に余裕を持たざるを得ないし、あせるとロクなことはないので、無念だが大事をとって諦める。

雨ヶ立から布引、烏帽子、朝日…ナルミズ沢…雪の季節はそれはもう最高なんだけど…

仕方ない。小さく尾根をぐるりと周回してテントに戻ることにする。

ピーカン!シュー歩きに最高な気持ち良い雪を蹴る!快適快適最高!帰りたくねぇ~!(^^;)

下りは早い早すぎる。

ので未練タラタラ大休止。

天国から無事テントに帰ってきた。

地獄の昨日とは打って変わって呑気に外で撤収作業が出来る。ありがたや~。

これだけで「なんて自分は幸せ者なんだ!」と思う事が出来る(笑)


昨日枝沢に苦労したので今日は板幽橋を目指して林道で帰ることにする。

それでもやはり埋まらない沢の処理が面倒で方角だけのルーファイでは歩けない。


無事板幽橋に出るが、林道が途中崩れているらしく面倒な迂回を強いられる。

つまりどのルートを採ってもどっちもどっちだ。

林道の雪はすでに腐って重い。

板幽橋からの板幽沢

快晴と気温上昇で、温泉に近づくとむしろ昨日よりも雪が減っている。

この調子では今季は雨ヶ立スキーは無理かな。

滑るなら布引山の方が良いかも。ナルミズはどうなんだろう。

フキノトウを見つけた!


水上駅付近にはこの時間食事をとれる店がないので、わざわざ上牧駅で下車し風和の湯に浸かる。

ところがなんと!あらかじめ調べておいた飲食店は祝日で休み!

歩ける範囲に店は無く、ホテルのレストランも今日はやってなく、風呂上がりに悲しくすきっ腹を抱えコンビニ探して歩きまわる羽目に。

これが今回の核心!

やっとセブンにありつき普段は目もくれないナポリタンを温めてもらい駅舎でパクつく。

こんなの初めて。とても悲しい。

最近は、あんなに静かだった日白山はメジャーになり過ぎてもはや行列、食指がイマイチ。

これからは雨ヶ立や布引山詣でをするのも良いかな。

どうかこれ以上有名になりませんように!


                  *****

山に入るなら、

人について行くだけでない、既存の道を辿るだけでない、人真似でない「自分だけの山」を!

沢を藪を岩を雪を自由自在に繋ぐ山を!

獣や鳥や岩魚や虫たちにはとうていかないっこないが…

〇〇〇の出せる山!(笑) 

もちろん自分の勝手な志向に過ぎないけれど、それが頑固で偏狭な自分の価値観。

ずっと昔から、そしてどれだけ時代が変わろうとも、誰に何と言われようとも。

自分には力も技も無いけれど、妄想と憧れ、不安と安堵、自己満足と喜びを私はいつまでも大切にしたい。


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沢登り山岳会 遡行同人 梁山泊 - 山をまるごと楽しむ!

遡行同人 梁山泊は「沢登り」を中心に、山スキー・岩登り・アイスクライミング・雪稜登山など、四季を通じて山をまるごと楽しむ山岳会です。拠点は東京で、安全登山を心がけており焚き火、山菜&きのこに興味がある方、未経験者・初心者も大歓迎です。