丹後山~越後沢山
2020/3/20-22
USAN、うど子
例年なら3月に三国川の林道通行などハナから無理と話にもならず3月に丹後山なんて考えもしないところだけど、今年のあり得ない超寡雪なら、もしかしたら通れるんじゃないかと計画してみた。
連休初日の20日は山は大荒れ確実なので、ゆっくり出発して十字峡までのアプローチと林道の偵察を行い、小屋で悪天をやり過ごし21日に丹後山を目指し、真っ白に化粧直しした国境稜線からの奥利根を味わおうという作戦。
20日
毎度恥ずかしながらのホテル湯沢での前夜泊。
お口ぽかんとなるほど雪の無い山々を眺めながらのんびり十字峡へのアプローチ。
雪の苦労は無く車で三国川ダム到着。
右岸も左岸も雪はほとんど無いけど、いつもなら絶対通れないだろうトンネル先の左岸の道もちょびっと端っこに雪がこびりついてる程度で雪崩れの心配も無し。(がっちりゲートあり。)
管理棟からの右岸道は更に全くといって良いほど雪は無くホントにびっくり、ゲートさえ無ければ十分車で通れる状態。
トンネル出口から見た左岸道↓
今回は右岸道を行く。
午前中は思ったほど天気が悪くない。
こんなにあったかなぁと思う程の食べごろのフキノトウがワンサカワンサカ畑だ~!
ネコブ取付きの導水管を見やるがこちらも雪は皆無!
小屋に荷を降ろし林道の偵察に行く。
USANはなんと竿と餌を持ってきていた!
アセるっつうか、ビビルっつうか、アキレるっつうか、恐るべしっつうか、笑える!(当然釣果無し!)
なんと林道にはチャリがデポしてあり先行者がいらっしゃるようだ。
釣り?山?みんな考えることは同じか。
びっくりしたがトレースはMSR、登山者か!猛者?それとも…?一体何者?ええぇ~っ、これからかなり荒れるだろうに大丈夫だろうか…?
ともあれ、林道通過が確信できたので時間は早いが小屋に戻ってまったりする。
風が強くなってきており堰堤の沢水がカーテンのように真上に巻きあげられている。
横殴りの吹雪を尻目に我々は呑気に春一番のフキノトウの天ぷらを揚げ、USANが自ら釣り上げたノドグロ(注:三国川にはノドグロは生息してません。)の皮炙り刺身を頬張り、フキ味噌、寄せ鍋…とルーティン?をこなすが酒が足りなくなりそう、空身で車に酒を取りに行こうかと真剣に考えてしまった(^^;)
21日
天気良し!
寝すぎて体が痛いほどなのでちゃんと早起きして出発!
林道はたまに小さなデブリはあるが、ほぼ上の雪は落ちており雪崩の心配もほとんど無く転落の恐怖もほぼ無く快適に通行出来、「これが3月の三国川林道かいな信じられん!」っと呆れながら歩く。
例年ならばGWでもデブリが多くて命がけ恐怖のトラバースだろうに。
今回積雪のラインはC900m位かと予想していたがC530mの登山道取付きには雪があった。
取付きからしばらくは雪と夏道のミックス急登を行くが、冬靴では登りも下りもいつも嫌なところ。
鉄砲平を迎えるとしばらくは緩くなる。
ナメコ地帯を通過するがかなり樹は古くなっておりかつてのようなウハウハはもう無さそう。
倒れちゃったヤツもあるね。
ここら辺は下山時はすっかり雪が無くなっていたところ。
雪は概ね締まっているところが多い。
尾根が細くなるあたりで、なんと昨日入山された先行者の青年が下りて来られた。
てっきり昨日は早めに小屋に着いて嵐をやり過ごし、(凍てつく小屋を明けてくれて!)国境稜線からネコブあたりにでも回るかベタなところでは中ノ岳かなと思っていたが…なんと大利根滝を目指したのだそう…さすがに昨日の荒天では相当ヤバかったことだろうとは思うがそれにしても全く以て良く入山されたものだ。
猛吹雪と視界悪化、道中いくつかのナイフリッジには隠れたクラックだらけだし尾根の広いところもあるし、よろければ谷底まで一発あの世行きの急斜面もある。
ご無事でなにより、お疲れ様でした!
高度を上げるにつれ、見上げていた周囲の山々がどんどん近づいてくる。
国境稜線も裏越後三山も、まだヤブは出ておらず真っ白。
阿寺山、入道岳、中ノ岳、兎、荒沢岳、大水上山、越後沢山、本谷山、下津川、巻機、ネコブ、桑ノ木…
どのラインにも雪がしっかりついているのが見える。
桑ノ木面ツル、ネコブは頭のてっぺんまで白いし下津へのルートも雪庇が出てるほど、マッキーはべったり面ツルピッカピカ。
歴史的寡雪で積雪量そのものは非常に少ないが、3月ということもあり上部はちゃんと雪がついている。
3月にここに来れることは今後もう無いかもしれない。
以前辿ったメロウな裏越後三山、藪と強風に苦しめられたネコブ~巻機、雪渓ズタズタだった奥利根本谷を感慨深く思い起こしながら歩く。
2000に満たない山域だがスケールデカい!
GWとは違いさすが3月、全部真っ白面ツルピカピカの絶景なり!
今年は行くなら絶対今だ!
4月には藪が出て、GWはもうボウボウだろう。
ジャコ平の泊まりたくなってしまうメルヘンな雪原を越えていくと見上げるような大斜面が伸びている。
稜線直下に青年の泊まった穴があったが猛吹雪、ホワイトアウトで良くぞ無事にここまで、穴を掘るのも相当大変だったことだろうに。
軟弱なワシらは景色を愛でながらアヘアヘと快適な小屋を目指す!(ガチガチに凍てついてるだろ~なぁ。。)
小屋だ!
小屋前の平らな雪原はアイゼン無しでは立つことすらキビシいガッチガチの分厚いアイスバーン。
古いアイゼンの足跡がかすかに残っていた。
案の定凍てつくエビのしっぽと格闘するものの相手はとても手ごわく、そうこうするうちに風がものすごく強くなってきた。
あきらめてテントを張ることにするが、小屋の周囲は風が巻いておりぐるりと雪が付いておらず、地面が氷化してガチガチに凍てついておりテントを固定するのが難しい。
暴風に凍え、えらい苦労しながらピッケルでガチガチの氷にアバラコフを作り、笹の細いヒゲ根を掘り出し、小屋にビレイを取り、やっとの思いでテントを立てる。ふぅ。
立ててしまえば快適なエスパース御殿!
ホッと安堵で毎度のまったり宴会だぁ!
ノドグロ、フキノトウ辛子酢味噌…
少しづつ風が弱まってきた。
夜には満点の星。
明日は風が止んでくれることを祈りながら眠りに就く。
22日
どうやら風はかなり収まっている。良かった!
派手なモルゲンはないが晴れている。やっぱり朝の山は素晴らしい。
優美な平ヶ岳。
真っ白に尖がる荒沢岳もその存在を主張しているようだ。
今日は越後沢山ピストンの予定だったが、天候悪化傾向なのでカットし何とかなるうちにとっとと下山してしまうことにする。
せめて水源碑からの本谷を見下ろしたかったのだが風と視界悪化は勘弁!仕方ない。
風がビュービュー、よろめかないよう、つまづかないよう、慎重にナイフを下る。
樹林帯まで下りると風が無くなったが、昨日より雪は腐りずいぶん融けて減ったようで昨日無かった夏道も現れている。
下るにつれ雨が落ちてきて林道を歩くころには本降りになってきた。
振り返れば山はガスって荒れている。
浸み込むタイプのカッパで何もかもずぶ濡れ冷え冷え。
小屋からは雨の中重いザックを背に何度も屈伸運動(フキノトウ摘み)を強いられながら?やっと車に到着。
3月の丹後山は絶景!スケール感もあるし最高!
こういうの見ちゃうとまた行きたくなっちゃう…けどやっぱり雪がたっぷりある時に横断したいな…
…山々が目に焼き付いている。
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